第92回京都管理会計研究会

京都大学経営管理大学院・経済学研究科は,令和4年5月14日,法経済学部東館地下1階「三井住友銀行ホール」にて第92回京都管理会計研究会を開催し,会場をZoomで中継するハイブリッド開催としました。本研究会は,研究者・実務家・院生を対象に管理会計研究の最先端の研究成果について知見を共有することを目的にしております。

当日は,篠原 巨司馬氏(福岡大学教授)より「戦略計画プロセスにおける抽象度管理と組織学習」と題し,管理会計における戦略の位置づけと実践の中に戦略を見出す視点から報告がなされました。

報告では,組織は新たな事業機会を探索するような戦略をどのように扱っているのか,従業員が定常業務をはみ出した活動を行うことをどうやって促進できるのか,コミュニケーションでしばしば起こる解釈のずれをどう扱うかという問題意識から出発し,企業のケーススタディを用いて説明しました。

報告ではケーススタディを踏まえて以下の内容を提示しました。

〇経営者は事業目標を「抽象化(=ビジョンや方向性のみが示される状態)」・「具体化(=日常の活動や具体的な数値に分解され目標が示される状態)」しながら、事業機会の探索活動へ向けた注意を促進していること。

〇既存事業を効率化・洗練化する活動を「具体化」によって組織のルーティンとして定着すること。

〇ルーティン化した活動の事業目標を「抽象化」することによって探索活動に資源配分すること。

〇これらを実現するために、探索の範囲を絞るような「具体化」を行なっていること。

参加した約50名の研究者・院生や実務家などと講演者との間で活発に議論が交わされ,盛会のうちに終了しました。

・講演する篠原氏

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