京都大学経営管理大学院・経済学研究科は,令和6年10月19日に総合研究2号館にて第106回京都管理会計研究会を開催し、会場をZoomで中継するハイブリッド開催としました。本研究会は、研究者・実務家・院生を対象に管理会計研究の最先端の研究成果について知見を共有することを目的にしています。
当日は、平田宏文 氏(京都大学大学院経済学研究科博士後期課程)より「ヒューマン・マシン・ネットワークを介した公共部門における深化的・探索的協働イノベーションの効果」と題して報告し、出席者と議論しました。
本研究は、地方公共団体の他組織との協働関係が、地方公共団体のパフォーマンスに与える影響を定量的に示すことを目的としており、我が国地方公共団体を対象として郵送質問票調査を行った結果を報告しました。
公的部門では、財政や人員などの公的資源が不足しているにも関わらず、市民から求められる役割が増加しており、革新的な解決策の探索が必要とされています。かかる状況下において、公的機関が民間組織や他の公的機関と協力することでイノベーションを起こそうとするコラボレーティブ・イノベーション(以下「CI」という。)が公的部門でイノベーションを起こす上で重要な役割を果たすことを先行研究から紹介しました。
CIを強化する要素として、情報通信システムの技術や整備状況、扱う人材の能力が、ヒューマン・マシン・ネットワークとして先行研究から紹介されました。また、コラボレーションを相手によって上位の公的部門、地域のステークホルダー、他の地方公共団体に区分し、イノベーションを既存サービスの改善・効率化を示す深化的イノベーション、新規サービスの実験・行動を示す探索的イノベーションに区分することで、CIを紹介しました。
報告では、コラボレーションの各形態に応じて深化的及び探索的イノベーションそれぞれを通じて組織パフォーマンスへに影響を与えていることを示しました。
参加した約15名の研究者・院生や実務家などと講演者との間で活発に議論が交わされ、盛会のうちに終了しました。